FXのボラティリティとは?基礎からトレード戦略まで徹底解説

FXに限らず投資を行ったことのある方であれば「ボラティリティ」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

トレードにおいてボラティリティはとても重要な要素になります。

しかしながら、ボラティリティの意味をきちんと理解しているトレーダーは意外と少ないものです。

そこで本記事では、そもそもボラティリティとはいったい何なのかというところからしっかり解説していきます。

FXでボラティリティの高い通貨ペア・低い通貨ペア、ボラティリティが変化するタイミングやトレード戦略など、ボラティリティの全てを徹底解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • FXにおけるボラティリティの基礎知識や注意点
  • ボラティリティが高い通貨ペアと低い通貨ペア
  • ボラティリティが変動するタイミングやトレード手法
目次

FXのボラティリティとは?意味を解説

ボラティリティとはひとことで言うと価格の変動率のことです。

FXでは価格の変動率が大きい通貨ペアに対しボラティリティが高い(大きい)と表現し、逆に変動率が小さい通貨ペアに対してはボラティリティが低い(小さい)と表現します。

また、為替市場全体に対しても「今日の東京市場はボラティリティが低かった」や「最近のNY市場はボラティリティが高いので注意が必要だ」といった言い方をします。

✔値動きが激しい=ボラティリティが高い(大きい)
✔値動きが安定している=ボラティリティが低い(小さい)
と覚えてもらって大丈夫です。

ボラティリティが変化する要因は色々とありますが、最も大きいのは市場流動性です。

FXの通貨を個別に見ても、取引量が多く流動性のある通貨はボラティリティが安定し、その逆だとボラティリティが高くなります。

例えば「ドル/円」のペアはボラティリティが低く値動きが安定しているのに対し、「南アフリカランド/円」は南アフリカランドの流動性が低いのでボラティリティが高くなり、突発的な値動きを見せることがあるということです。

FXでは市場や通貨ペアごと、または時間帯や時期によってボラティリティは大きく変化します。
そのため、FXの実際のトレードの場面ではボラティリティの確認が非常に重要なポイントになってくるのです。

FXのボラティリティに関する注意点

トレードする側にしてみればボラティリティが高いということは価格がよく動くということですので、トレードチャンスばかりのように思えますが、そうとは言い切れません。

価格の変動率が上がるということは同時にリスクも増えるということです。

ここからはそんなFXのボラティリティ高い場合と低い場合、それぞれの注意点について見ていきます。

FXでボラティリティが高い(大きい)場合に注意すべきこと

FXでボラティリティが高い場合に最も注意すべき点はリスク管理です。

具体的には「ポジションサイズの調整」や「損切り」といったことが重要になります。

ボラティリティが高いということは、言い換えると価格が急騰することもあれば逆に急落することもあるということ。

そのような相場環境で証拠金ギリギリのポジションを持ったり、損切りポイントを明確に置いていないというのは極めて危険だということです。

FXでボラティリティが高い場合はどこまで値動きが進むかはわかりません。
したがって、自身の思惑とは逆に値が動いた際にいかに損失を抑えるかが重要になります。

「ボラティリティが高い」=「それだけリスクがある」ということですので、リスク管理には十分気をつけましょう。

FXでボラティリティが低い(小さい)場合に注意すべきこと

FXでボラティリティが低い場合に気をつけたいのが、小さい値動きの中で何とか利益を得ようと強引なトレードをしてしまうことです。

例えば、下のチャートはある日のドル円のチャートになります。

ちなみにこの日の1日の値動きの幅は24.6pips。

例え前日までに大きく値が動いていたとしも、FXではボラティリティが前日の50%にも満たないということはよくあることです。

このような状況ではエントリーチャンスを見つけるのは非常に難しい作業になります。

FXでは「ボラティリティが低いところにチャンスなし」といったところでしょうか。

確かにボラティリティが低い場合は、ボラティリティが高い場合に比べてリスクは下がります。

しかしだからといって強引なトレードを重ね、いわゆる「ポジポジ病」になってしまっては利益を重ねていくことは難しくなりますので気をつけましょう。

FXではボラティリティを計算に入れてトレードするべき

FXのボラティリティには高い場合にも低い場合にも注意点があることがわかりました。
したがって、FXではボラティリティを十分計算に入れてトレードしなくてはいけません。

例えば、FXの通貨ペアによってはボラティリティの差が3倍以上あるケースも見られます。

そのため、順張りなのか逆張りなのかといったトレード戦略的なことや、ポジションサイズや損切り幅、利益確定ポイントといった細かな部分もボラティリティによって変えていくことが必要です。

ボラティリティが高い場合の逆張りはそれだけリスクを伴いますからね。

つまり、FXにおけるボラティリティというのは常に計算に入れておくべきポイントであり、FXではボラティリティによってトレード戦略の打ち出し方が変わってくるということです。

FXでボラティリティが高い通貨ペアと低い通貨ペア一覧

FXではボラティリティが高い通貨ペアと低い通貨ペアを比較的明確に区分することができます。

もちろん相場環境によってボラティリティは変化するものですが、通貨によってある程度傾向がはっきりしていますので、トレードの際の参考にしてみてください。

FXでボラティリティが高い通貨ペア銘柄ランキング表

一般的にボラティリティ高い傾向にあり、なおかつ多くのFX会社で取り扱いがある通貨ペアは以下の通りです。

順位通貨ペア日本語表記
1位USD/ZAR米ドル/南アフリカランド
2位EUR/TRYユーロ/トルコリラ
3位USD/MXN米ドル/メキシコペソ
4位USD/TRY米ドル/トルコリラ
5位GBP/NZD英ポンド/ニュージーランドドル
6位EUR/NZDユーロ/ニュージーランドドル
7位GBP/AUD英ポンド/豪ドル
8位EUR/AUDユーロ/豪ドル
9位GBP/JPY英ポンド/日本円
10位GBP/CAD英ポンド/カナダドル
参考:「JFX」ボラティリティ表(2020/1月〜2022年6月までの平均ボラティリティ)

このようなボラティリティが高い通貨ペアには、以下のような通貨が含まれているのが特徴になります。

  • 取引量の少ないマイナー通貨
  • 流通範囲が狭い通貨
  • 資源国通貨
  • 政治的に不安定な国の通貨

南アフリカランドやトルコリラ、メキシコペソといった通貨は、流通範囲が狭く取引量も少ないマイナー通貨の代表格と言っていいでしょう。

ちなみに、メジャー通貨とマイナー通貨の分け方は以下の通りです。

メジャー通貨マイナー通貨
米ドル(USD)
ユーロ(EUR)
日本円(JPY)
英ポンド(GBP)
豪ドル(AUD)
ニュージーランドドル(NZD)
カナダドル(CAD)
スイスフラン(CHF)
左のメジャー通貨以外の通貨

また、メジャー通貨であっても資源国通貨はボラティリティが高くなります。

資源国通貨とは

鉱物資源やエネルギー資源、食料資源などの資源を豊富に有する国の通貨の総称。代表的な通貨は、豪ドル(AUD)・ニュージーランドドル(NZD)・カナダドル(CAD)・ブラジルレアル(BRL)など。

資源国通貨は自国の資源を主な輸出品としており、資源価格と通貨との連動性が高いことや、輸出国の影響を受けやすく地政学的リスクなどにも過敏に反応することからボラティリティが高くなる傾向にあります。

このほかボラティリティが高い通貨としてあげられるのがポンド(GBD)です。

ポンドは世界第4位の取引量を誇りますが流通している市場範囲は狭く、またイギリスが北海油田を保有していることから資源国通貨としての側面があります。
そのためボラティリティが高い傾向にありますので注意しましょう。

なお、各通貨ペアのリアルタイムのボラティリティに関しましては、以下のFX会社のボラティリティ一覧表にて無料で確認することができます。

FXでボラティリティが低い安定した通貨ペア銘柄ランキング表

続いてはボラティリティが低い通貨ペアを見ていきましょう。

こちらに関してはシンプルに世界的に取引量が多い通貨ペアが安定して低い傾向にあります。

順位通貨ペア日本語表記
1位EUR/USDユーロ/米ドル
2位USD/JPY米ドル/日本円
3位EUR/JPYユーロ/日本円
4位EUR/CHFユーロ/スイスフラン
5位AUD/NZD豪ドル/ニュージーランドドル
6位EUR/GBPユーロ/英ポンド
7位USD/CHF米ドル/スイスフラン
8位CAD/CHFカナダドル/スイスフラン
9位CAD/JPYカナダドル/日本円
10位CHF/JPYスイスフラン/日本円
参考:「JFX」ボラティリティ表(2020/1月〜2022年6月までの平均ボラティリティ)

もちろんここにあげた通貨ペアであっても、大きな値動きを見せることもあります。

しかし先程見たボラティリティが高い通貨ペアと比べると取引量・流動性ともに安定しており、値が飛ぶほどの急騰・急落はあまり起こりにくいと言えるでしょう。

ちなみに世界の通貨取引量ランキングは以下の通りです。

  1. 米ドル
  2. ユーロ
  3. 日本円
  4. ポンド
  5. 豪ドル
  6. カナダドル
  7. スイスフラン
  8. 中国人民元
  9. スウェーデンクローナ
  10. ニュージーランドドル

FXを初めて間もない方こそ、ボラティリティが安定している通貨ペアを選びトレードすることをおすすめします。

FXボラティリティが不安定なマイナー通貨の取引をする時は細心の注意を

FXではボラティリティによって通貨ペア選びをするトレーダーも少なくありません。

しかし、前述したようにFXでボラティリティが高い場合には相応のリスクがあり、特にマイナー通貨に関してはリスクが増大しますので注意が必要です。

特に以下にあげる通貨は、取引量も少なく流通範囲が非常に狭いため、値動きが不安定ですので注意してください。

要注意の通貨ペア
  • 南アフリカランド(ZAR)
  • トルコリラ(TRY)
  • メキシコペソ(MXN)
  • デンマーククローネ(DKK)
  • ハンガリーフォント(HUF)
  • ノルウェークローネ(NOK)
  • ポーランドズウォティ(PLN)

これらの通貨はボラティリティが高いというより、ボラティリティが不安定と言った方がいいでしょう。

大口の売買が入ったら即値が飛ぶといった具合です。

そのためスプレッドも広い傾向にあり、取引コストに関しても無視できません。

FX会社によっては上記の通貨を扱っているところもありますが、リスクやコストを十分考慮して取引するようにしましょう。

FXボラティリティが変化する時間帯・時期・タイミングとは

FXのボラティリティは時間帯や季節要因、重要経済指標の発表などで変化するものです。
詳しく解説していきます。

FXでボラティリティが高まる時間帯・低下する時間帯

FXでは市場参加者が多ければ多いほど取引量が増え、ボラティリティが高まりやすくなります。

その際、鍵を握るのが世界3大市場と言われる以下の市場のオープン状況です。

外国為替市場オープンクローズ
東京市場9:0017:00
ロンドン市場16:00翌2:00
ニューヨーク市場21:00翌6:00

これらの市場をボラティリティが高い順番に並べると「ニューヨーク>ロンドン>東京」といった感じです。

特にニューヨークとロンドンが共にオープンしている時間帯である日本時間の21:00〜2:00の間は市場参加者も多く、取引が活発に行われる時間帯になりますのでボラティリティも高まりやすい傾向にあります。

逆に上記の3市場がクローズする日本時間の早朝3時〜7時あたりは市場参加者が少なく、取引量も減少しますのでボラティリティも低くなりがちです。

もちろんウェリントン・シドニーといったオセアニア市場はオープンしています。
しかし市場参加者は3大市場の比ではなく、落ち着いた値動きになりがちです。

日本時間の早朝はチャートもずっと横に動いているような印象ですよね。

取引する人がいなければ、価格が動くということもありません。

FXは基本的に24時間取引できるものですが、相場が動かない時は全く動かないこともあるということです。

FXボラティリティ1年間のうちで平均より高くなりやすい時期・低くなりやすい時期

FXのボラティリティが高くなるのには季節的な要因も関係してきます。
特に大きいのはアメリカやヨーロッパの海外勢の動向です。

海外勢がホリデーシーズンに突入したり、企業決算が重なったりするとボラティリティも大きく変化します。

ボラティリティの変化の節目としてわかりやすいのが、以下にあげるアメリカの祝日です。

  • 1月1日ニューイヤー(新年)
  • 7月4日インディペンデントデー(独立記念日)
  • 9月第1週の月曜レイバーデー(労働者の日)
  • 11月第4週の木曜サンクスギビング・デー(感謝祭)
  • 12月25日クリスマス

日本では日本では1月1日は元日で祝日になりますが、海外勢は動き始めます。
海外勢はクリスマス休暇明けの12月27日くらいから本格的に始動しますので、正月からボラティリティが高まるということはよくあることです。

2月・3月に関しても、日本企業の決算期と重なるためボラティリティはわりと高め。
逆に4月は日本企業の新年度となり、慎重な値動きになる傾向があります。

5月・6月は上半期で最もボラティリティが高まり安い時期です。
欧米金融機関の中間決算と重なる時期でもあり、年末12月の本決算よりもこの時期の方が値動きが大きくなりやすい傾向にあります。

欧米勢が徐々に夏のホリデーシーズンに突入するのが7月4日のアメリカ独立記念日からです。
この頃からボラティリティも低下しがちで、日本のお盆と重なる8月ともなるとさらに値動きが少なくなる傾向にあります。

そんなホリデーシーズンが終わり、年後半の本格的な動きが始まるのが9月第1週の月曜レイバーデーから。
そこから9月・10月・11月にかけてはボラティリティが高く推移する傾向にあります。

11月第4週の木曜日のサンクスギビング・デーからは年末のホリデーシーズンに突入です。
12月25日のクリスマスに近づくにつれてどんどんボラティリティが低下するといった流れになります。

このような1年の間にもボラティリティが高くなりやすい時期と低下しやすい時期がありますので覚えておきましょう。

FXボラティリティが変動する確率の高い重要指標

FXのボラティリティが高くなるには様々な要因がありますが、主要国の政策金利の変更や重要指標の結果次第でボラティリティが大きく変動します。

特に以下にあげる米ドル関連の指標やユーロ圏の経済指標には注意が必要です。

重要経済指標

【米国】

  • 米国雇用統計
  • GDP(国内総生産)
  • ADP雇用統計
  • 消費者物価指数(CPI)
  • ISM製造業景況指数
  • FOMC(米国連邦公開市場委員会)政策金利決定会合

【ユーロ圏】

  • ユーロ圏失業率
  • GDP(国内総生産)
  • 消費者物価指数(HICP)
  • ユーロ圏小売売上高
  • IFO景況感指数(ドイツ)
  • ZEW景況感指数(ドイツ)
  • ECB(欧州中央銀行)政策金利決定会合

【日本】

  • 日銀金融政策決定会合
  • 日銀短観

このほか、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)、日銀などの要人の発言によってボラティリティが変化する場合もあります。

指標の中で特に注意したいのが米国雇用統計です。

米国雇用統計はあらゆる投資家が注目している経済指標。
そのため指標発表前というのは、結果を待って取引を控える投資家も多くボラティリティが低下する傾向にあります。

しかし、指標発表でサプライズがあれば一気に価格が変動することとなるわけです。
米国雇用統計前にポジションを取る場合には十分なリスク管理を行うようにしましょう。

過去にボラティリティが急拡大した事例

為替相場は大手金融機関の破綻等の経済危機や、戦争や紛争などの地政学リスク、国の政策金利の変更といった金融政策によっても大きく変化するものです。

2000年代に入ってから為替相場が急変した代表的な事例は以下の通りになります。

  • 2001年 アメリカ同時多発テロ
  • 2007年 サブプライムショック
  • 2008年 リーマンショック
  • 2009年 ギリシャ金融危機
  • 2011年 東日本大震災
  • 2015年 スイスフランショック
  • 2016年 イギリスのEU離脱が国民投票によって決定される(ブレグジット)
  • 2016年 アメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選
  • 2020年 新型コロナウィルスの世界的流行
  • 2022年 ロシアがウクライナへ侵攻開始

この中でもFXのボラティリティという点において注目したいのが、2016年のスイスフランショックです。

スイスフランショックとは、2015年1月15日のスイス国立銀行(SNB)金融政策理事会で、2011年9月から約3年にわたって維持してきたスイスフランの対ユーロ(EUR/CHF)の「上限1ユーロ=1.20フラン」の廃止が突如として発表され、スイスフランの値が大きく動いた件のことを指します。

この発表から20分間の間のボラティリティは凄まじく、EUR/CHFが約3,500pips、CHE/JPYが約4,000pips、USD/CHFで約2,800pipsの暴騰・暴落が起こりました。

あまりの急な値動きのために、FX業者によってはロスカットが追いつかず、証拠金がマイナスになるケースが多発。
それにより追証が発生し、損失を被ったトレーダーが数多く生まれてしまいました。

追証とは

追加証拠金の略。取引による損失額が口座の残高より多い場合、FX会社より追加で証拠金を求められること。

当時は日本国内でも破産したトレーダー多くいたようです。
各FX会社がボラティリティの変化に対応できなかったトレーダーに大量の追証を求めたという報告書も多数あがっていました。

為替相場では、このようなロスカットが追いつかない急激なボラティリティの変動リスクは常に存在します。
そうした価格変動のリスクは常に頭に入れておいて、資金管理だけはしっかりと行うようにしましょう。

FXボラティリティの拡大・縮小を予測するのは難しい

ここまで見てきたようにボラティリティが変化する要因というのは様々です。

したがって、FXではボラティリティの拡大・縮小をあらかじめ予測するのは非常に困難を極めます。

レンジブレイクを予測するのが難しいのと同じですね。

たとえ米雇用統計が発表された直後でも値動きが全くない場合もありますし、日本時間の早朝であろうが要人発言によってボラティリティが急拡大することもあります。

大切なのは、ボラティリティが拡大しやすい時間帯・縮小しやすい時間帯、重要経済指標や季節的な要因をしっかり頭に入れておくことです。

そうして、いつでもボラティリティの変化に対応できるようにしておくことがトレードを行う上では重要になります。

FXのボラティリティをリアルタイムで分析するおすすめテクニカルインジケーター

FXのボラティリティはこまめに高値と安値を割り出すことで確認することができます。
また、チャート形状からもある程度のボラティリティは判断できるでしょう。

しかし、インジケーターを使用すればもっと簡単に、視覚的にもわかりやすくボラティリティを確認することができます。

ここではそんなボラティリティを分析できるおすすめのインジケーターをいくつか見ていきましょう。

ボラティリティが確認できるオシレーター系インジケーター「ATR」

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)はボラティリティを測るインジケーターで、平均的な1日の値動きを計算します。

ATRの上昇はボラティリティの拡大を示し、ATRの下落はボラティリティの縮小を示し、シンプルにボラティリティの強弱を判断することができるおすすめのインジケーターです。

エントリーの判断にも使える「ボリンジャーバンド」

ボリンジャーバンドは相場のボラティリティを計算して、チャートの変動範囲を統計学で表したものです。

簡単に言うと、バンドの幅がボラティリティの強弱を表しています。
「バンド幅が拡大=ボラティリティも拡大」ということです。

FXの代表的なインジケーターでるボリンジャーバンドは、ボラティリティを分析するだけでなくバンド内に価格が収まる確率が90%以上という性質を利用し、エントリーや利益確定の判断に使うことができます。

バンド幅が安定して推移していれば、バンドを利用した逆張りができ、逆にバンド幅が拡大すれば素直に順張りといった具合です。

このようにボリンジャーバンドはあらゆる使い方ができる、FX初心者から中上級者までにおすすめのトレンド系インジケーターになります。

過去のレートの推移から将来のボラティリティを判断する「HV」

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は過去の値動きから価格の変動率を表示するインジケーターです。

過去の価格変動が少なく安定して動きであればHVの値は小さくなり、逆に価格変動が大きければHVの値も大きくなります。

つまり、HVの値を見ることによって現在のボラティリティの状況がひと目でわかるということです。

このFXのボラティリティを示してくれるHVの計算式は、簡単に言うと過去のレートの終値の前日比がもとになっています。

前述したATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)と非常によく似たインジケーターになりますが、ATRの値は当日における最大の値動きを基準に計算されるのに対し、HVでは過去の値動きをもとに計算されるということです。

相場のボラティリティの基準として使える「VIX(恐怖指数)」

VIX(恐怖指数)とは、シカゴオプション取引所がアメリカの大企業500社で構成される株価指数「S&P500」をもとに「市場が今後30日でどのような変動を見込んでいるのか」を数値化しているものです。

VIXの数値は以下のように変化します。

VIXの変化
  • S&P500の値動きが激しくなると予測する投資家が増える→VIX指数は上昇
  • S&P500が安定すると予測する投資家が増える→VIX指数は下落

つまり、VIXの数値が高くなるほどボラティリティが拡大する可能性も上がるということです。

FXのボラティリティを判断する目安としましてはVIXが20〜30を超えたあたりから注意が必要。
株式相場に売りムードが漂い、それが為替相場のボラティリティにも影響を及ぼします。

ちなみに、FXのボラティリティが大きく変化したリーマンショックのときはVIXが80を超えてました。直近では新型コロナウィルスが世界中でパンデミックを起こしたタイミングでVIXの数値も跳ね上がりましたね。

VIXが「恐怖指数」と言われる所以は、数値が高くなるほど「投資家が株式市場の先行きに不安を感じている=恐怖を感じている」ということになり、相場が大きく暴落する可能性があるからです。

そのため、VIXは厳密にはインジケーターではないのですがFXのボラティリティを分析する際にも大いに役立つ指標になります。

ボラティリティの変化は「アラート速報通知機能付きの無料アプリ」から取得するのがおすすめ

常にチャートを監視し続けることができない時に便利なのが、価格変動を通知してくれるスマートフォンアプリです。

現在では様々な通知機能を持つアプリが各FX業者からリリースされており、いずれも無料で利用することができます。

FX業者によって多少の機能の違いはありますが、ボラティリティの変化をいち早く通知してくれるものや、あるレートを設定してそこに達すると通知されるもの、重要経済指標の前に通知してくれる機能を持つものなど、設定次第であらゆる形で通知を受けることが可能です。

以下にあげる国内FX業者ではそういった便利なアプリが無料で利用できますので、ぜひチェックしてみてください。

  • IG証券
  • SBI FXトレード
  • FXプライム byGMO
  • auカブコムFX
  • 岡三オンライン
  • OANDA Japan
  • 外貨ex byGMO
  • 外為どっとコム
  • サクソバンク証券
  • GMOクリック証券
  • JFX
  • セントラル短資FX
  • DMM FX
  • ヒロセ通商
  • MATSUI FX
  • マネックス証券
  • マネースクエア
  • みんなのFX
  • LIGHT FX
  • LINE FX
  • 楽天FX

普段海外FXを利用している方にも国内業者のアプリはおすすめです。
FXのボラティリティの変化を知るために、前日の値幅の60〜70%値が動いたら通知をもらうといった便利な使い方もできます。

FXボラティリティを目安にしたトレード戦略・手法

FXではボラティリティによって背負わなくてはいけないリスクの割合が変わります。
したがって、ボラティリティによってトレード戦略や手法も変えるべきと言えるでしょう。

そこでここからはボラティリティの違いによる実際のトレード戦略・手法について見ていきます。

FXでボラティリティが高い場合のトレード方法

FXでボラティリティが高い場合のトレード戦略の打ち出し方としては、いかにリスクを抑えられるかが鍵になります。

価格が動くということは、それだけ大きな利益も狙えるということですが、同時に思惑とは逆の方向にも価格が動く可能性があるということです。

したがって、ボラティリティが拡大している局面では「逆張り」よりも「順張り」、長期でポジションを保有するよりもスキャルピングやデイトレードなどの短い時間軸でのトレードが向いていると言えます。

どれだけ強力なレジスタンスや反発するであろう価格帯があったしても、ボラティリティが拡大している場面でそこを背に逆張りするのは非常に危険。

むしろそうしたレジスタンスを突破してから、流れに乗ってエントリーするほうが勝率の高い優位性のあるトレードを行うことができます。

また時間軸に関しても、リスクを抑えるのなら短期勝負です。
ポジションを長期で保有すればするほど値動きが思惑とは逆向してしまうリスクが増大します。

それに対し、ポジションを翌日に持ち越すことなくその日のうちに決済するようにすれば、大きな利益を得ることはできないかもしれませんが損失を限定することが可能です。

FXでボラティリティが高い場合のトレードに必要なのはとにかくリスクを抑えること。
利益を狙える分、損失を被る可能性もあるとこを忘れないようにしましょう。

FXでボラティリティが低い場合のトレード方法

FXでボラティリティが低い場合は、それだけ値動きが小さいということであり、数pipsの抜き方が重要になってきます。

場合によっては「トレードしない」という選択も全然ありです。

しかし、値動き小さいからといってチャンスが全く無いのかというと、そんなことはありません。

ではFXでボラティリティが低い場合のトレードをどうやるのかというと、具体的にはレンジ相場での逆張りになります。

このようにボラティリティが低くレンジで推移している相場では、レンジをブレイクする可能性が低くいため、逆張りにはもってこいの局面と言えでしょう。

特に東京市場がオープンしている時間帯はレンジ相場になりやすく、欧州勢が参入してくる16:00くらいまではブレイクも起きにくい傾向にあるため、逆張りにはおすすめの時間帯になります。

また、FXでボラティリティが低い状態が続くようであれば、スワップポイント狙いの長期運用も有効なトレード方法です。

スワップポイントとは

2カ国間の金利差によって発生する利益のこと。「金利差調整分」とも呼ばれる。

具体的には、低金利の国の通貨を売って高金利の国の通貨を買うと、ポジションを決済するまで毎日利益が発生する仕組み。

低金利の代表通貨といえば「円」になりますので、「円」と高金利通貨の「メキシコペソ」「南アフリカランド」「トルコリラ」あたりのペアは、スワップポイント狙いの長期保有にはおすすめです。

それらの通貨は基本的にボラティリティが高い通貨ですので、スワップポイントを受け取りつつ大きく動いた際に利益を確定するという戦略を取ることもできます。

ボリンジャーバンドによるオススメのトレード手法を紹介

先程もご紹介した「ボリンジャーバンド」は、ボラティリティが低い場合にも高い場合にも活用できる優れたインジケーターです。

まずボラティリティ低い場合ですと、レンジで相場が推移している以下のような場面においてボリンジャーバンドはエントリータイミングを計るのに有効活用できます。

このように、バンドへのタッチがエントリーの目安となり、視覚的にもエントリータイミングが非常にわかりやすくなります。

次にボラティリティが高い場面ですと、順張りを行う際に重要なシグナルとなるのがボリンジャーバンドの「バンドウォーク」です。

上のチャートように、バンドに沿ってローソク足が並んでいる状態が「バンドウォーク」になります。

バンドウォークが意味するのは「強いトレンド」です。
すなわち、バンドウォーク発生時に順張りすればトレンド方向に優位性のあるトレードができるということになります。

なお、バンドウォークに関してはこちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

まとめ

ここまでFXのボラティリティに関して詳しく見てきました。

FXのボラティリティは通貨ペアはもちろん、時間帯や時期によっても変化することがおわかりいただけたかと思います。

FXではボラティリティの変化に伴い、背負わなくてはいけないリスクやトレード方法も変わります。

価格が動くということは、それだけリスクも増えるということ。
上手にボラティリティを活かしてトレードを行っていきましょう。

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この記事を書いた人

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