海外FXの闇|誰も言わないヤバイ現実をプロが告発します

皆さんは国内FXと海外FXのどちらを利用していますか。

FXを始めるタイミングでインターネットで海外FXや国内FXについての口コミや記事を調べた方も多いと思います。

しかし海外FXに関して検索しても見つかるのは海外FXのメリットばかりを主張している記事ではないでしょうか?

海外FXに関するすべての記述が間違っているとは限りませんが、それらの記事によって海外FX業者の「やばい現実」が都合よく捻じ曲げられていることがあります。

この記事では海外FX業者や海外FXブロガーが言いたがらない、海外FXの「闇」について解説していきたいと思います。

  • 海外FXの闇①:海外FXは日本の金融ライセンスを取得していないため違法
  • 海外FXの闇②:海外FXのアフィリエイトはボロ儲けできる
  • 海外FXの闇③:海外FXにかかる税金は重い
  • 海外FXの闇④:海外FX業者もDD方式を使用している

この記事の監修者

猪首 秀明(いくび ひであき)

1964年生。京都府京都市出身。

☑ 1983~2012年 ひまわり証券株式会社  取締役営業本部長
☑ 2012~2016年 東岳証券株式会社    代表取締役社長
☑ 2022年5月~  WikiFX Japan株式会社 顧問

1998年の外為法改正に伴い、ひまわり証券時代に日本初となる外国為替証拠金取引(FX)を商品化させ、その普及に貢献する。

現在は複数のFX関連企業の顧問を兼任。
延べ3000人を超える個人投資家と接した経験から、個人向けの金融トレード運用アドバイザーとしても活動中。

目次

海外FXの闇①:海外FXは日本の金融ライセンスを取得していないため違法

海外FXは海外の金融ライセンスを取得しているから安全

海外FXは日本の金融ライセンスを取得していない代わりに、海外の金融ライセンスを取得しています。

XM公式HP

海外FX業者の中で人気の高いXMの公式HPを確認すると、セーシェルとモーリシャスの金融ライセンスを取得していることがわかります。

しかし日本のトレーダーが日本の金融ライセンス以外に保護されることはありません。

ここでは以下の3つについて解説していきたいと思います。

  1. 金融ライセンスとは何か
  2. 海外FXはなぜ日本の金融ライセンスを取得しないのか
  3. 日本の金融ライセンスを取得しないことによる弊害

金融ライセンスとは何か

金融ライセンスとは各国の金融規制当局が発行しており、多くの場合その国において金融事業を行う際にはその国が発行している金融ライセンスを取得する必要があります。

オフショア地域では金融ライセンスを必要としない国も存在します。

金融ライセンスを取得しているFX業者でトレードしている国内のトレーダーは、金融規制当局から保護を受けることができます。

金融ライセンスには取得するにあたっての難易度や、取得後の規制や監視の強さに従って以下のようにレベル分けされている事があります。

金融ライセンスの難易度金融ライセンスの名称取得要件の目安
レベル1(レベルA)NFA、FINMA、FSA①資本金$2,000万〜
②厳格なレポーティング義務
③高品質なサービス提供
④現地事務所を持っている
⑤$12万5,000ドルの年会費
レベル2(レベルB)FCA、ASIC①STP方式の場合は資本金$10万〜②DD方式の場合は資本金$100万〜
③現地事務所を持っている
※金融ライセンスの取得に$3万5,000〜$5万
レベル3(レベルC)CySEC、MFSA、FMA①資本金$3万〜
②簡易的なレポーティングの義務
③現地事務所を持っている
④安価な納税義務
※金融ライセンスの取得に$3万5,000〜$5万
レベル4(レベルD)BVIFSC、IFSC、FSA、(SVGFSA)①資本金の要件なしの場合あり
※金融ライセンスの取得に$2万〜$3万、数千ドルしかかからない場合あり
金融ライセンス

レベル1に分類される金融ライセンスは取得難易度が高く、取得のプロセスの煩雑さや取得要件となる資本金の水準、さらに取得後の規制の強さなどが最も高い水準に位置しています。

レベル1に分類される金融ライセンスを発行している金融規制当局として有名なのが、スイスのFINMAやアメリカのNFAであり、日本の金融ライセンスも同様のレベルに分類されます。

これらの金融ライセンスを取得しているFX業者は金融規制当局からの監視の目が厳しいため、その分トレーダーに対する保護や補償も手厚いことで知られています。

またレベルの高い金融ライセンスを取得しているFX業者は、信頼性の高い業者として顧客から認知されるというメリットもあります。

一方でレベル4に分類される金融ライセンスは取得難易度が低く、金融ライセンス取得に係るプロセスもかなり簡単で、金融規制当局によってはライセンス取得料金を払うだけで金融ライセンスを付与しているところもあります。

このような金融ライセンスを発行している金融規制当局はオフショア地域と呼ばれており、多くの場合タックスヘイブンや金融規制に関する法律があまり定まっていない発展途上国で発行されていることが多いです。

また高いレバレッジを実現するためや、会社の法人税を節税のためにオフショア地域で会社を設立するFX業者も多いです。

猪首顧問からのアドバイス

上記の解説の通り、金融ライセンスと言っても、取得の難易度はレベル1~4では雲泥の差があります。

特にFSA(日本の金融庁)のライセンスは、世界のトップレベルのものです。

海外FX会社の多くは、レベル3~4のところが圧倒的に多く、日本の銀行や証券会社と同等の信用度があると考えるのは非常に危険です。

猪首 秀明

個人的には、日本と同等の信用があるのは、金融先進国と言われるユーロ圏の一部の国か、アメリカぐらいだと思っています。

海外FXはなぜ日本の金融ライセンスを取得しないのか

日本でFX事業を行う際には日本の金融ライセンスを取得している必要があります。

オフショア地域の中には、国外でのFX事業のみ(IBC)を許可している金融規制当局も存在します。

それにもかかわらず多くの海外FX業者は日本の金融ライセンスを取得していません。

海外FX業者は金融庁に無登録のまま日本のトレーダーに対してサービスを提供しているため、金融庁から無登録で金融事業を行う業者として警告を受けています。

ではなぜこのような警告を受けているのにもかかわらず海外FX業者は日本の金融ライセンスを取得しないでしょうか。

それは一言でいえば、日本の金融ライセンスを取得してしまうと海外FX業者の強みを売りにすることができなくなってしまうからです。

前述のように日本の金融ライセンスの取得難易度はかなり高く、レベル1に該当します。

金融庁による規制
  • 最大レバレッジ25倍
  • 信託保全義務
  • ロスカットルールの設定義務
  • 追証請求義務
  • 両建ての禁止

上記の規制を見てわかるように、日本の金融ライセンスを取得することによって海外FX業者の特徴である「ハイレバレッジ」「ゼロカット」等を採用することができなくなってしまいます。

このように海外FX業者が日本の金融ライセンスを取得してしまうと、国内FX業者との競争に勝てる要素がなくなるため、あえて日本の金融ライセンスを取得していないのです。

日本の金融ライセンスを取得していないことによる弊害

以上のような理由で日本の金融ライセンスを取得していない海外FX業者ですが、当然日本の金融ライセンスを取得していない状態で日本のトレーダーに対してサービスを提供する事は違法に当たります。

また違法であるだけではなく、日本の金融ライセンスを取得していないという事は、海外FX業者で取引をしているトレーダーは金融庁からの保護を受けられないと言うことになるため、トレーダーに大きな危険が及ぶことになります。

海外FX業者では不当な出金拒否や詐欺まがいの行為を働くようなFX業者が存在することが口コミなどで報告されています。

もし海外FX業者関連の詐欺被害にあった場合は弁護士に相談することなどの対処法が考えられますが、実際には詐欺グループの足がかりを掴めずに、泣き寝入りに終わるケースが大半です。

日本の金融ライセンスを取得していれば金融庁からの保護や補償を期待することができるますが、金融庁の管轄外にある業者からの詐欺被害に対してアプローチすることは難しくなってしまいます。

海外FXの闇②:海外FXのアフィリエイトはボロ儲けできる

現在海外FXについてインターネットで検索をしても、海外FXのアフィリエイト記事が大半を占めているような状態になっています。

これは海外FX業者からかなり高いアフィリエイト報酬が支払われていることが影響しています。

海外FXのアフィリエイトであれば自身がトレードで利益を上げることができなくても、海外FXのアフィリエイトを行うだけでトレードに相当する利益を得ることができる仕組みになっているのです。

そこでここでは以下の3つについて解説していきたいと思います。

  1. 海外FXのアフィリエイトには3種類ある
  2. 海外FXのアフィリエイトはかなり儲かる
  3. 海外FXのアフィリエイトはかなりグレー

海外FXのアフィリエイトには3種類ある

海外FXのアフィリエイトは以下の3種類に分けられます。

  1. IB報酬
  2. CPA報酬
  3. サブアフィリエイト報酬

IB報酬とは海外FX業者のアフィリエイトの中では最も有名なもので、アフィリエイトによって紹介したトレーダーが取引を行うごとに、取引量に応じたアフィリエイト報酬をもらえるというシステムになっています。

例えばIB報酬が1ロットにつき5ドルだった場合、そのトレーダーが1ヶ月で100ロットのトレードを行ったとすると、IB報酬として毎月500ドルの報酬を受け取ることができるということになります。

IB報酬では1人の顧客から継続的なアフィリエイト報酬を得ることができるという大きな特徴を持っています。

CPA報酬とはトレーダーをFX業者に紹介するごとにもらえる報酬のことを指します。

IB報酬とは違って1人のトレーダーにつき1回分の報酬のみを受け取れるというシステムになっており、そのアフィリエイトで紹介したトレーダーが取引を行なったとしても、トレードによるアフィリエイト報酬を受け取ることができません。

サブアフィリエイト報酬とはアフィリエイトを新たに紹介するためのアフィリエイトのことを指します。

サブアフィリエイト報酬では自分が紹介したアフィリエイターがアフィリエイト報酬をもらうたびに、そのアフィリエイト報酬の数%を受け取ることができるという報酬のことを指します。

海外FXのアフィリエイトはかなり儲かる

上記で紹介したアフィリエイト報酬中でもIB報酬はかなり稼げることで有名です。

国内FXでよくあるアフィリエイト報酬は海外FXのCPA報酬にあたり、1人の顧客につき1回きりの報酬という特性上、報酬がスケールしにくい構造になっています。

一方で海外FXのIB報酬ではアフィリエイトで紹介したトレーダーが1人であっても、そのトレーダーが継続的にトレードをしていればその分のアフィリエイト報酬が継続的に貰えるという仕組みになっています。

ランクブロンズシルバーゴールドプラチナVIP
IB報酬$3/1ロット$5/1ロット$7/1ロット$9/1ロット$10/1ロット
XMのアフィリエイト報酬

上図は海外FX業者であるXMが提供しているアフィリエイト報酬の中でも、IB報酬に該当する報酬体系を表にしています。

XMでは「アフィリエイトレベルポイント」に応じてIB報酬のランク分けがされており、アフィリエイトに貢献するほど高いIB報酬を獲得できるという仕組みになっています。

XMのアフィリエイトをVIPランクで行なっていた場合、アフィリエイトで紹介した数名のトレーダーが、1ヶ月で合計1,000ロット分のトレードを行なった場合、IB報酬として$1万(約118万円)を受け取れることになります。

海外FX業者では何百倍から何千倍ものレバレッジをかけてのトレードをすることができます。

したがって必然的に紹介したトレーダーの取引量は大きくなり、その分アフィリエイターがIB報酬として受け取る部分も大きくなります。

このように海外FXのアフィリエイトはかなり儲かりやすい仕組みになっており、海外FXについてのメリットばかりを強調した悪質なアフィリエイト記事が量産されるような状況になっています。

海外FXのアフィリエイトはかなりグレー

アフィリエイターにとって魅力的なシステムが作られている海外FXのアフィリエイトですが、法律的な観点からいうとかなりグレーゾーンであることに注意する必要があります。

ここでは海外FXのアフィリエイトがグレーゾーンとされている理由を段階的に解説していきたいと思います。

STEP
海外FXへの「勧誘」には金融ライセンスが必要

海外FXへの口座開設を促す行為は第1種金融商品取引業の「媒介」に該当するため、金融ライセンスが必要。

STEP
海外FXのアフィリエイトによる「勧誘」は無登録営業にあたるため違法

海外FXのアフィリエイトは「勧誘(媒介)」を行なっているのにもかかわらず、金融ライセンスを取得していないので違法。

STEP
海外FXのアフィリエイトは「勧誘」ではなく「情報提供」?

一方でアフィリエイトは「勧誘(媒介)」ではなく「情報提供」に過ぎないという主張もあり、違法とは言い切れない。

STEP
「情報提供」であったとしても海外FX業者の営業の「幇助」にあたる

しかし、たとえ「情報提供」であっても海外FXという「違法」を「幇助(後押し)」していることに違法性の余地がある。

前述のようにFX業者が日本のトレーダーにサービスを提供するためには、日本の金融ライセンスを取得する必要があります。

また、日本の居住者に向けて口座開設などの勧誘をするときなども日本の金融ライセンスは必要になってきます。

この点において海外FXのアフィリエイトは

金融ライセンスを受けていないのにも関わらず、FX業者への勧誘を行なっているので違法

という解釈をすることができます。

一方で海外FXのアフィリエイトは単なる情報提供にとどまっており、勧誘には当たらないので金融ライセンスの取得は必要ないという主張も同時に存在します。

しかし海外FXのアフィリエイトを行うという事は、海外FX業者の違法行為を後押ししている行為、つまり「幇助」にあたり得るという解釈もあります。

このように海外FXのアフィリエイトは現状法的にグレーゾーンに位置していますが、違法と解釈されてもおかしくない行為であることを覚えておく必要があります。

猪首 秀明

顧客の取引量に応じて、手数料バックが発生するライフタイムコミッション的な「IB報酬制度」は、日本の金商法では禁止行為です。もちろん日本のFX会社で採用しているところはありません。

海外FXの闇③:海外FXにかかる税金は重い

海外FXでは何百倍から何千倍のハイレバレッジでのトレードが可能です。

したがって大きなロットを保有することによって、ハイリスクハイリターンなトレードをすることができます。

しかしハイレバレッジトレードで大きな利益を得ることができても、税金で大半を持ってかれてしまっては元も子もありません。

ここでは海外FXの税金に関する以下の2つについて解説していきます。

  1. 国内FXと海外FXにかかる税率は違う
  2. 長期的には国内FXの方がお得

国内FXと海外FXにかかる税率は違う

国内FXと海外FXでは利益に対して適用される課税方法は異なります。

まず国内FX業者では申告分離課税という課税方法が適用されており、どれだけ利益を上げても一律20.315%の税率が課せられます。

申告分離課税の内訳

20.315% =所得税15% +住民税5% +復興税0.315%

国内FXの課税の特徴として、3年間の損失繰越ができることが挙げられます。

上の図のように国内FXでは1年目に出した損失分を4年目まで損失繰越ができるため、課税対象額を減らして節税することができます。

一方で海外FXの利益に関しては総合課税という課税方式が適用されており、利益を上げれば上げるほど税率が上がっていく累進課税になっています。

総合課税の仕組みは以下の通りです。

所得額税率住民税所得控除
195万円以下5%10%0円
195万円~330万円以下10%10%9万7,500円
330万円~695万円以下20%10%42万7,500円
695万円~900万円以下23%10%63万6,000円
900万円~1,800万円以下33%10%153万6,000円
1,800万円以上~4,000万円以下40%10%279万6,000円
4,000万円〜45%10%479万6,000円
総合課税

また海外FXの税率に関しては海外FXでの利益を含めたすべての所得を合算したものに対しての課税が適用されます。

海外FXの損失に関しては国内FXのように損失繰越はできません。

長期的には国内FXの方がお得

FX以外でも所得がある人にとっては国内FXを利用する方が大きな節税につながります。

国内FX業者と海外FX業者の税金の違い

給与所得:500万円

FXでの利益:200万円

【国内FX業者で利益を上げた場合の納税額】

〜国内FXの利益分の納税額〜

国内FX業者で利益を上げていた場合、FXでの利益分には別の所得とは切り離して税率が適用されるので

200万円×20.315%=40万6,300円

〜給与所得分の納税額(所得控除あり)〜

195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(500万円-330万円)×20%+500万円×10%-42万7,500円=74万2,500円

よって納税額は114万8,800円になります。

【海外FX業者で利益を上げた場合】

海外FX以外の所得に関しても合算して税率を計算するので

195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(695万円-330万円)×20%+(700万円-695万円)×23%+700万円×10%-63万6,000円=136万8,000円

よって納税額は136万8,000円になります。

以上から分かるように、海外FXで大きな利益を上げれば上げるほど本業の収入に加算される納税対象額がかさ増しされることになるので、納税に苦しむことになってしまいます。

つまり副業でFXを行う多くの人にとって海外FXで成功するほど、税負担が増えるというジレンマに陥ることになります。

その一方で国内FXに関しては他の所得とは分離して課税されるので、税率面ではかなり優遇されているといえます。

海外FXの闇④:海外FX業者もDD方式を使用している

よく海外FX業者のサイトや、海外FX業者のアフィリエイト記事では、

海外FX業者ではNDD方式のみを使用しており、透明性の高いトレードを保証しています。

国内FX業者ではDD方式を使用しているので、トレーダーに対して不利益になるような約定を行なっています。

などのように海外FX業者を持ち上げる一方で国内FX業者を貶めるような内容が書かれていることが多いです。

しかしこれは大きな間違いです。

ここでは以下の3つについて解説していきます。

  1. DD方式やNDD方式の本当の意味
  2. 呑み行為は悪いことではない
  3. 金融ライセンスからわかる海外FX業者の注文処理方式

DD方式やNDD方式の本当の意味

皆さんは「DD方式」「STP方式」「ECN方式」を業者を分類する言葉として理解していませんか?

これは厳密には正しいとは言えません。

そもそも「〇〇方式」などはFX業者がトレーダーからの注文をどのように処理するかの名称であり、FX業者自体を分類する言葉ではありません。

以下では「DD方式」とNDD方式に分類されている「STP方式」「ECN方式」について詳しく解説していきます。

  1. DD方式
  2. STP方式
  3. ECN方式

DD方式

まず海外FXのアフィリエイト記事が原因で悪印象がついてしまっているDD方式から解説していきます。

DD方式ではトレーダーからの注文をFX業者のディーラーが受け付け、その時点で注文を約定させる方式です。

DD方式ではトレーダーとディーラーが1対1の取引をしている状態になり、相対取引と呼ばれています。

DD方式による注文処理はトレーダーとディーラーが反対のポジションを持つことから「利益相反行為」と表現がされ、海外FXのアフィリエイト記事ではこの「利益相反行為」がトレーダーにとって不利になるという主張がされることが多いです。

トレーダーからの注文を受けたディーラーは、FX業者内部で集まった注文同士を相殺して、ポジションを整理していきます。

この行為のことをネッティングと言い、ネッティングされた後のポジションのことをネットポジションと呼びます。

ネットポジションの例

【ディーラーのポジション】

買い注文: 50枚

売り注文: 48枚

トレーダーからの注文の結果、ディーラーが以上のポジションを抱えたとします。

このポジションをネッティングすると、FX業者が抱えるネットポジションは

買い注文:2枚

になります。

ディーラーは抱えているネットポジションに対してその後二通りの方法をとることができます。

  1. カバー取引
  2. 呑み

カバー取引とは、FX業者のカバー先に対してネットポジションとは反対のポジションの注文をすることによって、リスクヘッジをすることを指します。

FX業者のカバー先としては、銀行や機関投資家などのリクイディティープロバイダー(LP)と呼ばれる金融機関が該当します。

カバー取引の例

【ネットポジション】

買いのネットポジション:2枚

FX業者が抱えているネットポジションが2枚の買いポジションであったとき、カバー取引としてFX業者はLPに対して2枚の売り注文を出したとします。

この時FX業者が抱えるネットポジションが0枚になるため、完全なリスクヘッジができたことになります。

またFX業者は抱えているネットポジションに対して、カバー取引をしないという選択肢を取ることもできます。

このことを注文を呑むという表現をし、「呑み行為」とも呼ばれています。

呑み行為の例

【ネットポジション】

買いのネットポジション:2枚

FX業者が抱えているネットポジションが2枚の買いポジションであったとき、このポジションを呑むとします。

呑み行為をしたFX業者は2枚の買いポジションをホールドすることになります。

つまりFX業者としては現在の相場にロングの優位性を見出しており、ロングによる為替差益を狙っている状態になります。

呑み行為ではFX業者は保有ポジション分のリスクを抱えることになるので、FX業者側のリスクが大きくなります。

したがってFX業者はリスク回避のためにも一部の注文をカバーしつつ、状況に応じて呑みを行うことでリスクコントロールをしています。

STP方式

ここから解説していくSTP方式とECN方式はどちらもNDD方式に分類される注文処理方式です。

NDD方式ではDD方式とは違って、トレーダーからの注文をFX業者側のディーラーが受け付けることはなく、LPに対して注文を仲介することによって約定させるという方式です。

NDD方式の中でもSTP方式はトレーダーから受けた注文をFX業者側のシステムを用いて、FX業者が契約しているリクイディティープロバイダーに対してルーティングして約定させる方式です。

STP方式ではMT4のプラグインを利用したルーティングが主流になっています。

STP方式はFX業者の中で最も使用されることが多い取引方式です。

なぜならSTP方式ではFX業者のディーラーが相対取引をする必要がないため、FX業者側が為替リスクを背負うリスクがないからです。

そのことからも資本金の少ないFX業者でもSTP方式を用いてFX事業を始めることができます。

STP方式では価格を提供しているLPに対して注文を直接ルーティングするため、リクオートされることがないという特徴があります。

ECN方式

ECN方式ではトレーダーから受けた注文をFX業者側のシステムが電子取引所へ流し、電子取引所内に集まった様々なプレイヤーとの価格のマッチングが行われる注文処理方式になっています。

ECN方式ではSTP方式とは違って、特定のLPに対してルーティングされるわけではなく、様々なプレイヤーが集まったインターバンク市場に注文が投げ出され、マッチング次第で約定の可否が決まるという違いがあります。

したがってECN方式を用いている場合は注文が約定されずにリクオートされることもあります。

呑み行為は悪いことではない

ここまでの説明を踏まえて、海外FX業者や海外FXのアフィリエイターが主張している、呑み行為は悪いことであるという主張に対して異議を唱えて行きます。

前述のようにDD方式でトレーダーからの注文を処理する場合、トレーダーからの注文が約定されるのはFX業者内のディーラーが相対取引を行った時点です。

したがって相対取引の後にディーラーがその注文を呑んだところで約定価格に影響は無い上に、そのことが値動きに影響する事はありません。

またDD方式はの利益相反行為であるため、都合の悪い注文に対しては約定拒否をするといったような噂が流れることがあります。

しかしFX業者が損をしそうな注文に対してはそもそもNDD方式での注文処理を選択することが考えられます。

加えて日本の金融ライセンスを取得しているFX業者の規制は厳しいことから、悪意のある約定拒否や出金拒否のような不正行為が行われることは考えにくいです。

金融ライセンスから分かる海外FX業者の注文処理方式

基本的にそのFX業者がどのようにトレーダーからの注文を処理しているかを完全に把握することはできません。

しかしそのFX業者が取得している金融ライセンスを見ることによって、使用している注文処理方式の見当をつけることができます。

WikiFXではFX業者がどの金融ライセンスを取得しているかを確かめることができます。

では実際にWikiFXでFX業者を検索しながら確かめていきましょう。

まずWikiFXにアクセスして中央の検索バーにFX業者の名前を入力します。

入力し終わったら検索ボタンをクリックします。

該当するFX業者を選択しクリックします。

画面の左側にそのFX業者が取得している金融ライセンスを確かめることができます。

MMライセンスとはFX業者がその金融ライセンスの管轄内においてDD方式での注文処理方式とNDD方式での注文処理方式の使用を許可されていることを表しています。

STPライセンスとはそのFX業者がその金融ライセンスの管轄内においてSTP方式での注文処理方式を使用することを許可されていることを表しています。

DD方式での注文処理を行うためにはFX業者が顧客の注文を問題なく約定できるほどの流動性や資本力を持っている必要があるため、MMライセンスを取得する事は大変難しくなっています。

一方でSTPライセンスではDD方式での注文処理を行うことができない代わりに資本要件等の条件が緩く、多くのFX業者が取得しやすいライセンスになっています。

今回WikiFXで調べたFPMarketsは「STPライセンス」「MMライセンス」の2種類の金融ライセンスを取得しており、管轄内においてDD方式での注文処理方式とSTP方式での注文処理方式の利用を許可されていることを表しています。

したがってFX業者がNDD方式のみを使用していると主張していても、FPMarketsのようにMMライセンスを取得しているFX業者である限り、DD方式も使用しているという可能性は十分にあります。

まとめ:海外FXに関する偽りの情報には要注意

ここまで海外FX業者の闇について解説してきました。

この記事で紹介した4つは海外FX業者やそのアフィリエイターによる印象操作が特に酷く、今や海外FXについての真実を知ることのできる記事はごく一部に限られています。

前述のように海外FXのアフィリエイトは稼ぎやすい仕組みになっており、一人でも多くのトレーダーを海外FXに誘導するためにそれぞれの記事が検索エンジンの中での順位を争っています。

したがってもはや海外FX業者や海外FXのアフィリエイターが主張していることが真実として捉えられている傾向があります

海外FXに関する偽りの情報には注意し、安全なトレードを心がけましょう。

WikiFXではより安全な国内FX業者の利用をオススメしています。

猪首顧問のFXコラム:成り立ちから考える「海外FX会社の危険性」

日本国において籍を置いていないFX会社を「海外FX会社」としておりますが、WikiFXで把握してる海外FX会社の数は4万社を超えています。

しかし、これらの海外FX会社のほとんどは、当該国の個人もしくは法人の資本で運営されていないのが事実です。

猪首 秀明

多くは日本人の出資によって、現地の代表者を雇い(これをノミニーと言います)、あたかも当該国の会社を装っているだけです。

なぜ、このような面倒くさい手続きをしてまで、海外でFX事業を行っているのでしょうか。

彼らは、日本の金融当局の厳しい管理監督体制の元でのビジネスを避けて、規制の緩い国から日本人をカモにするような営業を展開しているのです。

海外FX会社のすべてがそうだとは言えませんが、健全な営業展開をしてるFX会社はごく稀だと言っても過言ではありません。

日本では、1998年にスタートしたFX取引ですが、当初このビジネスを管理監督する業法がなく、誰もが一般事業会社として営業が可能な時代もありました。

猪首 秀明

一時期は日本国内でも300~500社とも言われるFX会社が乱立していました。

FXの黎明期は個人投資家自身がそのリスクを判断しなければならない状況でした。FXは相対取引が基本になるため、取引ルールや仕組みは取引業者によってまちまちであり、取引の公正性は取引業者に依存する部分が大きいことが理由です。

2000年代前半には日本国内でも悪徳業者による詐欺まがいの行為が横行し、社会問題となる時期もありました。

こうした状況を打開するため、2005年に改正金融先物取引法が施行され、FX業者は金融庁への登録が必要となりました。

法改正により、杜撰な営業体制だったFX会社は、日本での活動ができなくなり海外に逃避することになったのです。

「日本での健全経営ができなくなり、規制が緩い海外に活動拠点を移した…」これが海外FX会社誕生の経緯であり実態です。

海外FX会社のHP等から発せられるのは一見魅力的なサービス内容です。
しかし、海外FX会社の生い立ちを知れば、大切な資金の預け先として適切なのかは言うまでもないと思います。

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この記事を書いた人

早稲田大学法学部を卒業後、FXでトレードを続けながらFX専門のWebライターとして活動。
海外滞在を通して身につけた英語力を武器に、英文献を用いた多角的な記事の執筆が得意。

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